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招かれざるものたち~スネール編

記事Apr.15th,2018
May 27th,2020
知らぬ間にベランダビオトープに住みつく巻貝、スネールについて。

“スネール”

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“スネール”とは?

屋内の水槽でももちろんですが、ベランダビオトープをやっているといつの間にか見覚えのない巻貝が混入しているということがあります。調べてみると“スネール”という生き物であることがわかります。

知らないうちに混入した“スネール”

“スネール”とはカタツムリや巻貝を表す英語“snail”のカナ読みですが、アクアリウムの界隈ではいつの間にか、意図せず混入している巻貝を総称して“スネール”と呼ぶようになりました。“スネール”呼ばれる巻貝はいくつもの種類がありますが、共通して“知らぬ間に侵入している”、“気づけば爆発的に繁殖している”という特徴があります。

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その巻貝本当にタニシ?

“スネール”とタニシ

インターネット上には「いつの間にかタニシがいた」「水槽にタニシが自然発生した」「タニシが卵を産んだ」などという投稿がよく見られますがこれらはたいていの場合タニシではなく“スネール”のことです。このように見慣れていない人はタニシと“スネール”を勘違いする人も多いです。

タニシと“スネール”とされるモノアラガイ

タニシも巻貝なので“snail”であることに変わりないのですが、意図的に飼育されているという点で“スネール”と呼ばれている巻貝とは異なります。

“スネール”とタニシの違い

タニシと“スネール”は以下のような違いから見分けることができます。

タニシは比較的大きい
“スネール”とされる巻貝も成長すると数センチになりますが、たいてい見つかるスネールは1センチにも満たず小さいです。一方でタニシは生まれてすぐの稚貝でも5mm程あります。
タニシは右巻き
タニシは右巻きの貝殻をもちます。タニシと同じく右巻きのスネールもいますが、“スネール”としてよく見られるサカマキガイは逆向きの左巻きの貝殻をもちます。
タニシは殻に蓋がある
タニシは貝殻を閉じるための蓋を持ちますが、“スネール”とされるモノアラガイやサカマキガイ、ヒラマキガイにはありません。
タニシは卵を産まなない
タニシは卵を胎内で孵化させてから稚貝を産む卵胎生という繁殖方法をとるので卵を産むことはありません。水草などに透明なゼリー状の卵が付着しているとしたら“スネール”の卵である場合が多いです。
タニシは殻が透けていない
“スネール”は殻が透けた色のものが多いですが、タニシの殻は透けていません。ただ、生まれたばかりのタニシは殻が透けているので駆除するときは注意が必要です。

タニシと“スネール”見分け方で「“スネール”は水面を逆さになって這うように移動することができるがタニシはできない」というものもありますが、成長途中の小さなタニシを含めて小さい巻貝は水面を這うことがあります。

水面を這うタニシ
タニシの稚貝

タニシは卵から生まれませんし、稚貝でも容易に見つけることができる大きさなので、基本的にタニシが意図せずして混入することはありません。タニシを入れた覚えがないのに巻貝が棲みついているのであればほぼ確実に“スネール”です。

代表的な“スネール”

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モノアラガイ

飴色で斑点がある透明感のある殻を持ちます。日本でも全国に分布していますが、環境の変化などが原因で生息数は減少しています。大きさは稚貝は1mmほど、成長すると2cm程になります。雌雄同体で他の個体と交尾し、寒天質の袋に入った卵を水草や石などに産み付けます。

成長したモノアラガイ
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サカマキガイ

モノアラガイによく似ていますが、その名前の通り多くの巻貝とは逆の左巻きの殻を持ちます。日本でも全国に分布していますが、北米原産で水草などと共に持ち込まれたものが繁殖した外来種です。大きさは稚貝は1mmほど、成長すると1cm程になります。寒天質の袋に入った卵を水草や石などに産み付けます。雌雄同体で他の個体と交尾しますが、自家受精する場合もあり、繁殖力が強いです。

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ヒラマキガイ

平たく巻いた殻を持ちます。世界中に広く分布し、日本に分布する種類もありますが、多くは海外から移入された外来種です。大きさは稚貝は1mmほど、成長すると2cm程になります。ヒラマキガイの一種であるインドヒラマキガイを品種改良したものは“ラムズホーン”の名前で販売されており、特にアルビノ個体を品種改良により固定化したものは“レッドラムズホーン”としてよくペットショップなどでよく見かけられます。寒天質の袋に入った卵を水草や石などに産み付けます。雌雄同体で他の個体と交尾しますが、自家受精する場合もあります。

成長したヒラマキガイ
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カワコザラガイ

笠貝型の殻を持ちます。全国に広く分布しますが、生態についてはあまりよく知られていません。大きさは小さく、大きくて4mm程です。

成長したカワコザラガイ

“スネール”の駆除

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“スネール”の侵入経路

スネールやその卵が購入した水草に付着していたり、生き物を購入した時の水に混入していたりしていてビオトープに持ち込まれます。

ペットショップなどで水槽をよく見て水槽内にスネールがいれば水草などにスネールやその卵が付着している可能性は高いです。とはいえ、品質管理が良い販売店から購入すれば混入しないというものでもなく、多かれ少なかれ混入しているものと考えたほうが良いです。

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“スネール”を駆除するべきか

意図せず侵入したスネールもコケや餌の食べ残しを食べたりするうえ、メダカなどの生き物を捕食したり、小さいので水草を食い荒らすということもありません。一番の害といえば爆発的に増殖して美観を損なうということぐらいで、ほかに大きな害はありません。とくにビオトープでは水槽と比べると美観への影響もそれほど大きくないので、駆除するかどうかはビオトープを管理している人の好みになります。

スネールとされる巻貝でもレッドラムズホーンなど水槽内の掃除屋として販売されているものもありますので、“スネール”とみなすかどうかはその人次第です。

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“スネール”の駆除方法

持ち込まない

一度でも混入してしまうと爆発的に増え、根絶するのが大変なので、そもそも持ち込まないことが一番対策になります。購入した水草をすぐにビオトープに入れず、何日か別の容器で観察してスネールや卵が付着していないかどうかをチェックするのが有効です。水草を入れる前に殺菌する薬剤を使用したり、カルキ抜きしていない水で洗浄したりすると除去できる場合もあります。ただし、水草の種類によっては薬剤やカルキに浸けると悪影響がある場合もあるので注意が必要です。

また、少し高価ですが特殊な寒天培地で栽培された水草も販売されており、これらはスネールやその卵、虫や菌が侵入してくる心配がありません。水上葉で栽培されている水草も空気中で育成されているのでスネールやその卵が付着しているリスクが少ないですが、根本など水に浸かっている部分はスネールやその卵が付着していないかチェックする必要があります。

増えにくい環境にする

巻貝は中性~弱アルカリ性の水質を好みます。岩や砂利などを使っている場合は中性~弱アルカリ性の水質になりやすいため自然と巻貝の生育に適した水質になっています。一方で弱酸性の水質では貝殻が溶け出してしまうため生育しにくい巻貝が多いです。

弱酸性の水質を維持することがスネール対策になりますが、他の生き物や水草に悪影響を与える可能性もありますし、スネール以外の貝にも影響しますので注意が必要です。

スネールイーターを導入する

スネールイーターを導入することも効果的です。アベニーパファーなどのフグやトーマシー、バジスバジス、巻貝を食べる巻貝であるキラースネールがスネールイーターとしてよく知られています。また、金魚も小型の巻貝を食べます。

キラースネール

これらの多くのスネールイーターは一般的に加温された水槽で飼育されるため水温の変化が大きい屋外のビオトープで飼育するにはあまり適していません。ビオトープに導入する場合は水温が下がってきたら屋内の水槽に移すなど水温の変化に注意する必要があります。また、スネールイーターはスネール以外の巻貝も食べますし、気性が荒いものも多いのですでに飼育している生き物との相性にも注意する必要があります。

効果はそれほど大きくはありませんが、タニシなどのコケを削り取るようにして食べる生き物は小さな“スネール”をコケと一緒に食べる場合もあります。

ビオトープをリセットする

一度混入してしまったスネールを完全に根絶するとなるとビオトープをリセットするしかありません。リセットするということはスネールだけでなく有益な微生物などもすべて死滅し、で生物濾過の完成した環境も失われます。元の環境に戻すには最低でも数か月かかります。

なお、リセットしている間に避難させたメダカなどの生き物や水草をビオトープに戻す際にそれらにスネールが混入していないか注意深く見る必要があり、見逃すとリセットした意味がなくなってしまいます。

手作業で取り除く

結局のところ一度混入してしまったスネールを駆除する一番簡単な方法は手作業で見つけ次第取り除いていくことです。スネールを駆除するアイテムとして薬品や捕獲器なども販売されていますが、他の生き物や水草に悪影響を与える可能性もあるので最終的には手作業で取り除くのが一番推奨されている方法です。スネールは小さく、卵も透明だったりするので込み入ったレイアウトのビオトープではすべてを手作業で取り除くのはかなり根気のいる作業になります。スネールの多くは夜行性なので幕などで覆って暗くするとスネールが出てきて発見しやすいかもしれません。

素手かピンセットでつまんで取り除いていくことになります。多くのスネールはそれほど殻が固くないので潰してしまうこともできますが、たくさん潰すと多少なれども水質に影響する可能性があるのでホース等で水ごと吸い出しながら潰すのが良いです。

取り除いたスネールを殺すのはしのびないと思うかもしれませんが、外来種のスネールも日本の自然環境でも生き延びることができますし、たとえ在来種であったとしても遺伝子汚染につながりますので生態系を破壊しないためにも、川などへ捨てることは絶対にやめましょう。

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