“タニシ”とは?
タニシ
タニシは腹足綱原始紐舌目タニシ科に属する巻き貝の総称です。南米と南極を除き全世界の淡水域に生息し、日本にはマルタニシ、オオタニシ、ナガタニシ、ヒメタニシの4種が生息しています。田んぼや用水路、池などに生息する身近な存在です。
タニシの特徴はその食性です。
- 刈り取り食
- 物の表面に生えた藻やコケを削り取るようにして食べます。
- デトリタス食
- 水の底に沈殿した生き物の排泄物や死んでしまった生き物を食べます。
- 濾過摂食
- 水中を漂うプランクトンや養分をエラで濾し取って食べます。
このような食性からビオトープや水槽でもコケ取りや水質の改善を目的として掃除屋として飼育されることが多いです。
タニシは雌雄異体で卵が孵化するまで体内で守り、稚貝を直接産む卵胎性という繁殖形態を取ります。なので卵を産むほかの巻貝に比べると増えるスピードは緩やかです。
ベランダビオトープで飼育するメリット
コケやエサの食べ残しなどを食べ、濾過摂食で水中に浮遊する養分なども摂食して水質浄化にも役立つタニシはベランダビオトープでメダカとともに飼育するのにおすすめの生き物です。
タニシは水田や用水路などでもよく見かけることができる生き物なので野外にあるビオトープで容易に飼育することができます。また、ビオトープ内での繁殖も可能ですが、繁殖する速度は緩やかなので増えすぎて手が付けられなくなるということもありません。
屋内の水槽ではコケ取りに石巻貝やフネアマガイが飼育されることが多いですが、屋外にあるビオトープではタニシが最適です。これらの巻貝に比べてコケ取りの能力は少し劣りますが濾過摂食によって水中を浮遊するアオコなどもを食べてくれるのでアオコの発生しやすいビオトープではとても重宝されます。
また、巻貝は種類によってはひっくり返ると自力で起き上がれず死んでしまうこともありますが、タニシはひっくり返っても自力で起き上がることができ、あまり手間がかかりません。
飼育環境
屋外飼育の春夏秋冬
その他
このタニシ、死んでいる?
タニシは殻に蓋を持っていて、冬眠状態にある場合や危険を感じた時には殻を閉じてその中に閉じこもります。また、水質に問題があると殻にこもって耐えたり、さらに特に問題がなくても殻に閉じこもってしばらく動かないこともあります。
殻の中に閉じこもってしまっていると生きているのか死んでいるのかの判別が難しいですが、タニシが死んでいるかを判別するためのポイントを紹介します。
- 蓋がない
- 蓋がなければすでに中身は他の生き物に食べられてしまっているか、腐ってなくなってしまっています。
- 悪臭がする
- タニシに限らず、貝は死ぬと悪臭がします。水から取り出して腐臭がする場合は死んでしまっています。
- 殻に穴が開いている
- 殻が薄くなって穴が開いているようであれば死んでしまっています。水質がタニシの飼育に適していない可能性もあるので対策が必要です。
- エビが集まる
- ミナミヌマエビなどは生きたタニシの殻に付着したコケを食べることもありますが、あまりにもたくさんのエビがタニシに集まるようであれば死んで腐敗が始まっています。
- 光が透ける
- タニシの殻を日にかざしみて蓋が透けるようであれば死んで中身がなくなっています。
蓋を突いたり、こじ開けたりすると怪我をして死んでしまう可能性があります。どうしても判断がつかない場合は別の容器に取り出してみて何日か様子を見てみるのも良いでしょう。
残念ながら死んでしまったタニシの殻はそのまま飼育容器に入れておけば残ったタニシのためのカルシウム補給源となったり、酸性に傾いた水質の改善に役立ちます。ただし、腐敗した中身は水を汚すので残すのは殻だけにしてください。
タニシの採取
大抵の熱帯魚店に行けばタニシは販売されていますが、用水路や田んぼなど身近な場所に生息しているので野生のタニシを採取することもできます。
ただし、いくつか気をつけなければいけないことがあります。
一つは、採取した巻貝が本当にタニシなのかということ。前述したようなスネールやジャンボタニシをタニシだと思って飼育容器に入れると大繁殖したり、水草や植物を食べ尽くしてしまったりと問題を起こす可能性があります。
もう一つは予期せぬ病気や寄生虫を持っている可能性があるということです。もちろん店で購入したタニシが絶対病気や寄生虫を持っていないかといえばそうではありませんが、野生のタニシを採取する方が病気や寄生虫を飼育容器に持ち込んでしまう可能性は高くなります。また、田んぼで使用されている農薬などが混入して他の生き物に影響を与える可能性もあります。
タニシを他の巻貝と見分ける自信がない人や、飼育容器に導入する時にトリートメントをするのが面倒という人は店で購入した方が良いでしょう。