“ベランダビオトープ”
“ベランダビオトープ”とは?
ビオトープ【Biotop】
動物や植物が恒常的に生活できるように造成または復元された小規模な生息空間。公園の造成・河川の整備などに取り入れられる。 〔ギリシャ語で生物(bios)と場所(topos)を示す造語〕
本来の意味での“ビオトープ”は自然環境を人工的に再現して生き物を呼び込むことを目的としており、そのような大規模な“ビオトープ”をベランダにつくることは困難です。
しかし、近年では屋外に水を入れた容器を置き、水辺の植物を栽培したり、メダカなどの水の生き物を飼育することが“ビオトープ”と呼ばれるようになりました。その“ビオトープ”をベランダにつくったものが“ベランダビオトープ”です。自然環境の保護を目的とした本来の“ベランダビオトープ”の定義からは少し外れますが、小さな生態系をベランダに作り出すことができます。
“ベランダビオトープ”を作る
“ベランダビオトープ”の管理
“ベランダビオトープ”の手入れ
屋内の水槽ではエアレーションをしたり、数週間おきに水換えをして、フィルターを掃除したりと手間がかかりますがベランダビオトープはそれほどの手間はかかりません。メダカを飼う場合、屋内の水槽で飼育するよりも失敗も少なくなります。
餌やり
いつの間にかメダカの餌になるプランクトンや藻が発生するため、餌やりをせずとも飼育が可能です。餌が不足しているようであれば餌やりをする必要がありますが、与えすぎは水を汚してしまうので与える量に注意が必要です。
水量の管理
蒸発などで水が減った分は水を足す必要があります。雨に任せる方法もありますが、水質が急激に変化する可能性もあるのであまりお勧めしません。
大雨で水量が増えると水があふれて生き物も一緒に流れ出てしまう可能性があります。容器に小さな穴をあけて水量が一定以上にならないような対策をお勧めします。また、強風によって水面が波打って水があふれる場合もあります。
水換えと水質の管理
十分な水量があり、生き物の数が適切であれば、水換えは基本的に不要です。初期を除き、一度環境が出来上がった後は、水質についてそれほど気にする必要はありません。また、風が水面に当ることで水中に酸素が供給されますので、エアレーションも基本的には必要ありません。
水温の管理
日本原産の生き物を飼育する場合それほど水温を気にする必要はありません。冬場も水面が凍っても水がすべて凍らなければ大丈夫です。ただ、夏場に直射日光が当たって急激に水温が上がるようであれば日よけなどを設置するなど対策する必要があります。
侵入者への注意
ヤゴなど予期せぬ外敵が侵入している場合があります。メダカなどの飼育している生き物を捕食するものもいるので、本来の“野生の生物を呼び込む”というビオトープの目的からは外れますが、小さなベランダビオトープでは環境が崩れてしまうので取り除く必要があります。また、侵入していないか時々観察する必要があります。
鳥や猫などに荒らされる可能性もあり、置き場所に注意したりネットをかけるなど対策場必要な場合もあります。
また、意図せず持ち込まれ、爆発的に増殖するスネールにも注意が必要です。
水草の管理
特に夏場は水草の生育が早くなるので水草が増えすぎたら間引く必要があります。水草が水面を覆い尽くすと水が空気に触れる面積が少なるだけでなく、水草も夜間は光合成せず酸素を消費するため、水の中が酸欠になりやすくなります。
また、睡蓮などの水生植物を鉢で栽培している場合は根詰まりをおこしやすいので、毎年植え替えが必要になる場合があります。
枯葉の除去
枯葉の量が少なければそれらを食べる生き物に任せておけばいいですが、冬前などあまりにも量が多い場合は水質が悪化するので取り除いたほうが良いです。
屋外にあるビオトープならではの注意点もありますが、屋内水槽に比べると手間が少なく簡単なはずです。