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ホテイアオイ

記事May 11th,2018
Jun. 13th,2021
ベランダビオトープ定番の水草、ホテイアオイについて紹介。美しい花を咲かせ、丈夫で栽培しやすいホテイアオイは水質の浄化に役立ち、メダカの産卵床にもなります。

“ホテイアオイ”とは?

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ホテイアオイ

ホテイ草”とも呼ばれるホテイアオイはミズアオイ科に属する単子葉植物です。水面に浮かぶ特徴的な姿や美しい花を咲かせることで知られ、水鉢に浮かべて観賞用として古くから親しまれています。ヒヤシンスのような大きな薄紫の花を咲かせ、“ウォーターヒヤシンス”の別名があります。

ホテイアオイ

ホテイアオイは丸く膨らんだ葉柄が特徴で、これが浮き袋の役目をして水面に浮かびます。この浮き袋を七福神の一柱である布袋の膨らんだ腹に見立てて、“布袋のような形をしている葵”、“ホテイアオイ”と呼ばれています。

ホテイアオイの裏側

栽培は容易で、日当たりさえよければほとんど枯れることがなく育ちます。

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基本情報

大きさ

通常は手のひらに乗る程度の大きさで、育つと水面から10cm程度立ち上がります。

栄養状態が良いと巨大化して最大で150cmにもなることがあります。巨大化すると丸く浮き袋状だった葉柄は細長く伸びて見た目の印象がかなり変わります。

栽培時期

暖かくなった5月ごろからが栽培を始めるのに最適な季節になり、ホームセンターの園芸コーナーなどにも並ぶようになります。涼しくなりはじめる10月ごろまでが栽培できる時期で寒くなると枯れます。

開花期は7月~9月ごろです。朝に咲いた花は夕方にはしぼんでしまいますが、一株が数個から十数個の花を咲かせます。

耐寒性

ホテイアオイは熱帯の南アメリカ原産のため耐寒性はありません。気温が5~10°Cになると枯れます。

耐暑性

暑さには強く、気温が上がると生育が活発になります。

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ベランダビオトープで栽培するメリット

メダカなどの生き物を飼育するビオトープにはホテイアオイはとても相性のいい水草です。メダカなどの排泄物をホテイアオイは肥料として吸収して成長しますので水質浄化の役に立ちます。夏には日陰を作って水温の上昇を緩やかにし、ホテイアオイが水中に垂らす根はメダカにとって最適な産卵床になります。

ベランダビオトープに浮かぶホテイアオイ
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ミニホテイアオイ

小さなビオトープでは、大きく成長すると数株だけでも水面を覆い尽くすほどになってしまうホテイアオイですが、あまり大きく成長しないように品種改良されたミニホテイアオイも作出されています。水質浄化の役に立ったり、メダカの産卵床に使用できたりといったホテイアオイの利点をそのままに大きくなりすぎる、増えすぎるといった欠点を軽減したものです。

普通のホテイアオイに比べるとやや高価で入手できる場所も少ないですが、大きいホテイアオイでは存在感が大きすぎる、小さい容器で栽培したいという場合はミニホテイアオイがお勧めです。

一般的なホテイアオイとミニホテイアオイ

栽培環境

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植え付け

水に浮かんで育ちますので水を溜められる容器である必要があります。大きさについてはホテイアオイが入る大きさであれば大丈夫ですが、水量が少ないと日が当たった時に水温が上がりすぎて茹で上がってしまうのである程度の大きさが必要です。

水深

根が長く伸びますので、根付かせないのであれば水深は20cm程度あった方が良いでしょう。

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用土

水面に浮かんで育つので土は必要はありません。

浅い容器で栽培している場合は根が容器の底の土に届いた場合には根付きます。栄養分が含まれる土である場合には根から養分を吸収して巨大化することがあります。

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日当たり

ホテイアオイの育成には日当たりがとても重要で、直射日光が当たる場所でしかうまく育ちません。日当たりが不足するとひょろひょろと全体が細くなってしまい、いずれ枯れてしまいます。

屋内で栽培する場合は日が直接当たる窓辺でないと育ちません。人工の照明で栽培する場合はメタルハライドランプなどの強力な植物栽培用の照明が必要になります。

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水遣り

水に浮かべて栽培するので水を切らさないようにします。

栽培に適した水質はph5~7程度で、弱酸性から中性を好みますがそれほど気にする必要はありません。水の中で生き物を飼育していたり、他の水草を栽培している場合以外はカルキ抜きをしていない水道水でも大丈夫です。

ボウフラが発生するので水を定期的に入れ替えるか、メダカなどのボウフラを捕食する生き物を入れると良いでしょう。

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肥料

肥料を与える必要はありません。肥料を与えると必要以上に増えたり、巨大化する可能性があります。

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増やし方

ホテイアオイは元気に成長しているとストロンと呼ばれる茎のようなものを出し、その先に子株を作ります。子株はストロンを通じて親株から栄養をもらって育ちますが、やがて自分の根で水中の栄養を吸収するようになります。ストロンは不要になると自然に切れますが、はさみなどで切っても大丈夫です。気温が低い時期は成長が遅くなかなか子株が増えませんが、暖かくなってきて、日当たりが十分あればこうやって次々と子株を出して増えていきます。

ホテイアオイの子株

花が咲き終わった後、花茎は曲がって先端を水中につっこみます。果実は水中で成長、熟した果実はいずれ水中に種をばらまきます。種は水中で土に根を下ろして成長し、成長すると浮袋をつけて水面を漂うようになります。ただし、種からの栽培は一般的ではありません。

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病気・害虫

十分な日当たりがあればほとんど枯れることがないホテイアオイですが、アブラムシやハダニがつくと葉などから吸汁されて弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまいます。ホテイアオイが枯れてしまう場合には、小さい虫がついていないかや蜘蛛の巣のような膜が付着していないか確認します。

薬剤を使って駆除することも有効ですが、メダカなどの生き物を飼育している場合は悪影響を与える場合があります。これらの害虫は水に弱いので水で洗い流したり、ホテイアオイをしばらく水に沈めておけば駆除することができます。メダカは水中に落ちたこれらの害虫を好んで食べてくれます。

栽培の春夏秋冬

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暖かくなった春の終わりから夏の初め頃が栽培を始めるのに最適な時期で、とホームセンターなどの園芸コーナーに並ぶようになります。

寒の戻りで霜が降りると枯れてしまうので、あまり早く栽培を始めることはお勧めできません。

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夏になり気温が上がると生育が活発になり、子株をつけてどんどん増えていきます。あまり増えすぎるようであれば古い株を間引いた方が良いでしょう。

元気に育っていると薄紫の大きな花を咲かせます。

日当たりが良すぎて水温が上がりすぎると茹で上がって枯れてしまうので、あまりに高温になる場合には水量を増やしたり、風通しの良い場所に置いたりします。

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涼しくなり、気温が15°C前後になるとあまり成長しなくなります。

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気温が5°Cを切るようになると枯れてしまいます。屋外では凍結したり、霜が当たったりしないように管理すると冬を越せる場合があります。一部でも残っていれば暖かくなるとそこから子株を出して増えていきます。

冬も十分に日光に当てる必要があるため、屋内での越冬は困難です。

その他

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増えすぎに注意

夏場になるとホテイアオイは非常によく増えます。ホテイアオイが増えすぎて水面を覆い尽くすと水中の酸素が不足したり、日光を遮られた水中の水草が枯れて水質を悪化させたりします。なので子株が増えすぎるようであれば間引く必要があります。

また、根が伸びてくると生き物が絡まってしまうことがあります。少しであれば切っても枯れませんので根が多すぎて生き物が泳ぐ邪魔になっているようであれば剪定します。

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スネールに注意

すべての水草に言えることではありますが、アクアリウム用ではなく園芸用に販売されているホテイアオイはスネールが付着している可能性が特に高いです。

スネールの混入を防ぐには、ホテイアオイは複雑な形状をしているのでパッと見たぐらいでは見つけるのが困難なので、何日か観察してスネールや卵が付着していないかどうかをチェックするか、薬剤などを使用して除去する必要があります。

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外来種のホテイアオイ

日本でも湖や沼、ため池などで見かけることがあるホテイアオイですが、本来は南アメリカが原産です。明治時代に観賞用として日本へ持ち込まれ、逸出したものが本州以南で野生化しています。耐寒性がないことから冬になるとその多くが枯死して悪臭を放ち、残ったわずかな株から再び大繁殖して水面を埋め尽くすことから各地で問題となっています。

また、ホテイアオイはその繁殖力の強さで世界中へ分布を広げ、水面を覆い尽くして水上の交通を妨げ、漁業に悪影響を及ぼしたり、水中の光が届かなくなった水草を枯死させたりすることから“青い悪魔”などと呼ばれています。

特定外来種には指定されていないので栽培は規制されていませんが、生態系被害防止外来種リストで重点対策外来種として指定されています。放流や遺棄、逸出は生態系に悪影響を及ぼすので十分に注意しなければいけません。

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花言葉

水面を漂うホテイアオイの花言葉は“恋の悲しみ”、“恋の楽しみ”、“揺れる心”、“揺れる想い”などで揺れ動く恋心を思わせる花言葉が多いです。

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