“ミナミヌマエビ”とは?
ミナミヌマエビ
ミナミヌマエビは十脚目ヌマエビ科に分類される、大きさは2cmから3cm程度の小型のエビです。野生では主に西日本や東アジアに生息します。体色は茶色や黒っぽい色で地味ですが、飼育や繁殖の容易さから水槽内のコケやエサの食べ残しを食べる掃除屋として熱帯魚とともによく飼育されています。

野生のミナミヌマエビは流れの緩やかな小川や用水路、池などの水草が多い所に生息します。ヌマエビの仲間の多くは生まれると一度海へ下る“両側回遊型”ですが、ミナミヌマエビは“陸封型”で一生を淡水で過ごします。なので、ダムなどの建設でせき止められて海と行き来ができない河川でも繁殖することができます。
ヌマエビの仲間の多くは“両側回遊型”で卵から孵化した時はプランクトンの状態で、海へ下り海か汽水域で成長してから再び川へ遡上します。幼生の成長には海水か汽水が必要になるため淡水のみでは繁殖ができません。
ベランダビオトープで飼育するメリット
ミナミヌマエビは小川や用水路などにも生息する生き物なので野外でも容易に飼育することができます。メダカとの相性も良く、ビオトープで飼育するのに最適です。
ベランダで生き物を飼育するベランダビオトープについてはこちら。
ベランダビオトープとは?
掃除屋として飼育されることの多いミナミヌマエビはコケや魚のエサの食べ残し、枯葉、死んでしまった生き物などを食べるので水質の浄化に役立ちます。小さいので大きなヤマトヌマエビや巻貝などに比べると食べる量は少なくなりますが、繁殖が容易なので複数世代に渡って効果を得ることができます。

飼育環境
飼育水
ミナミヌマエビの飼育に適した水質はpH6.5~7程度といわれていますが、弱酸性~弱アルカリ性まで比較的幅広い水質に適応できるのでそれほど水質に神経質になる必要はありません。ただし、他のエビと同様水質の変化には敏感なので新たな飼育容器に入れる時や、水換えの時には急激に水質が変化しないように気を付ける必要があります。
“pH”は水素イオン指数を表す記号で溶液の液性を表します。pHが7付近の時は中性で7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性です。一般的な溶液はpH0~14で表されます。
水道水で飼育水を作る方法についてはこちら。
水道水で飼育水を作る~カルキ抜きの方法
エサ
エサの種類
ミナミヌマエビは雑食性でコケや藻類、生き物の糞や死んでしまった生き物、エサの食べ残しなど何でも食べます。一番前の脚が小さな鋏になっていて鋏を使ってエサを小さくちぎり、忙しく口に運ぶ動作を繰り返します。
人工のエサを与える場合は水にすぐ沈むタイプの人工飼料を与えます。エビ専用のエサや甲殻類用のエサが良いですが、他の観賞魚用のエサでも問題なく食べます。

エサの与え方
ベランダビオトープでは自然にコケが生えたり、他の生き物の食べ残しや植物の枯葉などのエサになるものが多いので特別エサやりをしなくても問題ない場合が多いです。立ち上げたばかりのきれいな飼育容器だったり、飼育数が多くてエサが不足しているようであれば少量エサを与えます。与えたエサが何時間経っても残っているようであれば水を汚しますので取り除いてください。
繁殖
繁殖方法
飼育下での繁殖は容易で、飼育環境に問題がなければ特に何も手を加えなくても勝手に繁殖し、稚エビが育っていきます。

繁殖シーズンは春から夏ごろで水温は20~25°C程が繁殖に適しています。メスは一度に多いと100個ほどの卵を産み、孵化するまで卵を抱えたまま過ごします。親エビは抱卵している間、卵に新鮮な水を送り続けます。親エビが放卵したまま死んでしまったり、親エビが脱皮して卵が離れてしまうと卵は孵化しません。水換えをしたり、別の飼育容器に移したりすると水質や水温の変化によって脱皮してしまう可能性があるので気を付ける必要があります。
幼生期は卵の中で過ごし、孵化するととても小さいながら成体と同じ形をしています。卵は2週間から1か月ほどで孵化します。生まれたばかりの稚エビは肉眼で見つけるのは難しい大きさですが数週間すると小さなエビがコケを食べているのを見つけることができます。

稚エビはメダカなどの魚に食べられてしまうので同じ飼育容器にいる場合は水草を多く植えたり、レイアウトを工夫して隠れ場所を作る必要があります。
オスとメスの見分け方
オスとメスの見分け方は第一触覚と呼ばれる鼻先の4本の触角がオスの方が長いことと、メスは卵を抱えるために腹部が少し丸くなっているのに対してオスは直線的でスマートな体つきをしています。また、成熟したメスは発達した卵巣が透けて見えます。一般的にミナミヌマエビはオスよりもメスのほうが大きく、3cmを超える大きなミナミヌマエビはメスの場合が多いです。