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ミナミヌマエビ

記事May 18th,2018
Jun. 2nd,2021
ベランダビオトープの掃除屋、ミナミヌマエビについて紹介。飼育と繁殖が簡単なミナミヌマエビはコケやエサの食べ残しを食べてくれるうえに、動きも愛らしくベランダビオトープでメダカとともに飼育するのにおすすめの生き物です。

“ミナミヌマエビ”とは?

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ミナミヌマエビ

ミナミヌマエビは十脚目ヌマエビ科に分類される、大きさは2cmから3cm程度の小型のエビです。野生では主に西日本や東アジアに生息します。体色は茶色や黒っぽい色で地味ですが、飼育や繁殖の容易さから水槽内のコケやエサの食べ残しを食べる掃除屋として熱帯魚とともによく飼育されています。

ミナミヌマエビ

野生のミナミヌマエビは流れの緩やかな小川や用水路、池などの水草が多い所に生息します。ヌマエビの仲間の多くは生まれると一度海へ下る“両側回遊型”ですが、ミナミヌマエビは“陸封型”で一生を淡水で過ごします。なので、ダムなどの建設でせき止められて海と行き来ができない河川でも繁殖することができます。

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基本情報

大きさ

大きさは最大で3cm程度です。メスはオスよりも大きく成長し、メスが3cm前後、オスが2cm前後になります。

寿命

野生のミナミヌマエビの寿命は1年ほどと言われ、春から夏ごろに誕生して成長し、翌年に繁殖して死んでいきます。飼育下では2~3年生きる場合もあります。

遊泳層

主に低層部で生活しますが、コケを食べるために壁面や水草などにつかまって水面近くまで上がってくることも多いです。

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ベランダビオトープで飼育するメリット

ミナミヌマエビは小川や用水路などにも生息する生き物なので野外でも容易に飼育することができます。メダカとの相性も良く、ビオトープで飼育するのに最適です。

掃除屋として飼育されることの多いミナミヌマエビはコケや魚のエサの食べ残し、枯葉、死んでしまった生き物などを食べるので水質の浄化に役立ちます。小さいので大きなヤマトヌマエビや巻貝などに比べると食べる量は少なくなりますが、繁殖が容易なので複数世代に渡って効果を得ることができます。

死んでしまったメダカを食べるミナミヌマエビ

飼育環境

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水槽・飼育容器

水量は1匹につき1Lほどあるといいと言われていますが、容易に増えることを考えると少し余裕のあると良いでしょう。水面近くまで上がってくることも多く、何かの拍子に水から飛び出してしまうことがあるので水面から容器の縁まではある程度高さがある方が良いです。

ミナミヌマエビにとって足場になりますし、水質も安定するので何らかの底床を敷いた方が良いでしょう。

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飼育水

ミナミヌマエビの飼育に適した水質はpH6.5~7程度といわれていますが、弱酸性~弱アルカリ性まで比較的幅広い水質に適応できるのでそれほど水質に神経質になる必要はありません。ただし、他のエビと同様水質の変化には敏感なので新たな飼育容器に入れる時や、水換えの時には急激に水質が変化しないように気を付ける必要があります。

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水温

ミナミヌマエビを飼育するのに理想的な水温は18~28°Cですが、水面が凍りつくような低温から30°Cぐらいまでは耐えることができますので屋外でも問題なく飼育できます。冬は水が全部凍ってしまうような環境でなければ大丈夫ですが、高温にはやや弱いので飼育容器に直射日光が当たるようであれば注意が必要です。

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エサ

エサの種類

ミナミヌマエビは雑食性でコケや藻類、生き物の糞や死んでしまった生き物、エサの食べ残しなど何でも食べます。一番前の脚が小さな鋏になっていて鋏を使ってエサを小さくちぎり、忙しく口に運ぶ動作を繰り返します。

人工のエサを与える場合は水にすぐ沈むタイプの人工飼料を与えます。エビ専用のエサや甲殻類用のエサが良いですが、他の観賞魚用のエサでも問題なく食べます。

人工飼料に集まるミナミヌマエビ

エサの与え方

ベランダビオトープでは自然にコケが生えたり、他の生き物の食べ残しや植物の枯葉などのエサになるものが多いので特別エサやりをしなくても問題ない場合が多いです。立ち上げたばかりのきれいな飼育容器だったり、飼育数が多くてエサが不足しているようであれば少量エサを与えます。与えたエサが何時間経っても残っているようであれば水を汚しますので取り除いてください。

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繁殖

繁殖方法

飼育下での繁殖は容易で、飼育環境に問題がなければ特に何も手を加えなくても勝手に繁殖し、稚エビが育っていきます。

抱卵したミナミヌマエビ

繁殖シーズンは春から夏ごろで水温は20~25°C程が繁殖に適しています。メスは一度に多いと100個ほどの卵を産み、孵化するまで卵を抱えたまま過ごします。親エビは抱卵している間、卵に新鮮な水を送り続けます。親エビが放卵したまま死んでしまったり、親エビが脱皮して卵が離れてしまうと卵は孵化しません。水換えをしたり、別の飼育容器に移したりすると水質や水温の変化によって脱皮してしまう可能性があるので気を付ける必要があります。

幼生期は卵の中で過ごし、孵化するととても小さいながら成体と同じ形をしています。卵は2週間から1か月ほどで孵化します。生まれたばかりの稚エビは肉眼で見つけるのは難しい大きさですが数週間すると小さなエビがコケを食べているのを見つけることができます。

ミナミヌマエビの成体と稚エビ

稚エビはメダカなどの魚に食べられてしまうので同じ飼育容器にいる場合は水草を多く植えたり、レイアウトを工夫して隠れ場所を作る必要があります。

オスとメスの見分け方

オスとメスの見分け方は第一触覚と呼ばれる鼻先の4本の触角がオスの方が長いことと、メスは卵を抱えるために腹部が少し丸くなっているのに対してオスは直線的でスマートな体つきをしています。また、成熟したメスは発達した卵巣が透けて見えます。一般的にミナミヌマエビはオスよりもメスのほうが大きく、3cmを超える大きなミナミヌマエビはメスの場合が多いです。

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混泳

同種との混泳

特に問題はありません。

他の観賞魚との混泳

ミナミヌマエビは小さく捕食されやすいのでミナミヌマエビよりも大きい魚や肉食性の強い魚との混泳はできません。捕食されないとしても大きな魚と混泳させると物陰に隠れて出てこなくなる場合があります。

ミナミヌマエビは鋏がとても小さいので基本的に生きた生き物に危害を加えることはありませんが、弱って死にそうな生き物やどこかに挟まるなどして身動きが取れなくなった生き物は食べようとすることがあります。

屋外飼育の春夏秋冬

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暖かくなると冬に鈍っていたミナミヌマエビの活動は活発化します。摂食量が増えていきますので、コケなどの食べれるものが少ない場合には少量ずつエサを与えます。

水温が20℃に近づくと繁殖がはじまり、抱卵した親エビが見かけられるようになります。

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夏の強い日差しは急激な水温の変化をもたらしますので直射日光が飼育容器に当たるようであれば浮草を浮かべるなどして日陰を作ります。水温が30℃を超えるようであれば日よけを設置するなどさらなる対策が必要です。

ミナミヌマエビは藻やコケの発生をある程度抑えてくれます。しかし、夏は藻やコケの成長が早く、小さなミナミヌマエビでは追いつかなくなることが少なくないので目につくようになってきたら手作業で除去する必要があります。

また、天敵となるヤゴなどの肉食昆虫が混入していないかも注意しなければなりません。

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水温が下がってくると徐々に活動量が減っていきます。

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ミナミヌマエビは冬眠状態にはなりませんが、水温が10°Cを切ると活動が鈍くなります。食べる量も少なくなりますので、コケや水草などの食べられるものがあればエサやりは不要です。

低温には比較的強いので水面に氷が張る程度であれば問題なく越冬できます。

その他

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脱皮

ミナミヌマエビは他の甲殻類と同じように脱皮を繰り返して成長していきますので、ミナミヌマエビの飼育容器では脱皮した後の抜け殻を見かけることがあります。

ミナミヌマエビの抜け殻

抜け殻はしばらくするとミナミヌマエビに食べられてなくなるので特に取り出したりする必要はありません。

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ヤマトヌマエビ

ミナミヌマエビと同じように水槽の掃除屋としてよく飼育される淡水エビにヤマトヌマエビがいます。ヤマトヌマエビは形はミナミヌマエビに似ていますが、大型で成長すると5cm程になります。食性はミナミヌマエビと同じでコケやエサの食べ残しを食べますが、体が大きい分コケを食べる能力はミナミヌマエビよりも高いです。

ヤマトヌマエビは両側回遊型なので淡水だけで繁殖することはできず、飼育下で繁殖させるのは困難です。しかし、寿命は2~3年ほどとミナミヌマエビよりも長く、飼育下ではさらに長生きすることもあります。

ヤマトヌマエビ
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農薬に注意

魚に比べてエビは農薬などの薬物に弱いです。比較的丈夫とされるミナミヌマエビも例外ではなく、新たに購入した水草を飼育容器に入れる場合にはその水草に農薬が付着していないかに十分注意する必要があります。

また、飼育容器の近くで殺虫剤を使用する時も注意が必要です。直接飼育容器にかからなくても空気中に浮遊した殺虫剤の成分が水に溶け込むとミナミヌマエビが全滅する可能性があります。

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ミナミヌマエビの採取

ミナミヌマエビは用水路など身近なところにも生息している場合があるので自分で探しに行って採取することもできます。

しかし、ミナミヌマエビと同じ環境に生息している淡水エビには多くの種類があり、中には肉食性が強いスジエビやテナガエビなどもいます。肉食性のエビをメダカなどを飼育している容器に入れてしまうともともと飼育している生き物が食べられてしまいますので、見分ける自信がない人は店で購入した方が良いでしょう。

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