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水道水で飼育水を作る~カルキ抜きの方法

記事May 18th,2018
June 4th,2020
水道水に含まれる塩素について。カルキ抜きして飼育水を作る方法。

水道水で飼育水を作る

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水道水を使うメリット

メダカなどの観賞魚を飼育する上で必ず必要となるのが水です。飼育水を作るのに一番手軽なのは水道水で作る方法です。

水道水を使うのには以下のようなメリットがあります。

水質が安定している
日本の水道水は厳格に水質基準が決められており、年中が水質が安定しています。
液性が適している
メダカをはじめ多くの観賞魚は弱酸性~中性の液性を好みますが、日本の水道水の水質基準値はpH5.8~8.6で当てはまることが多いです。
硬度が適している
メダカをはじめ多くの観賞魚は軟水を好みますが、日本の水道水は多くの場合軟水です。
ミネラルが含まれる
観賞魚にとって有益なミネラルがほどよく含まれます。
家庭内で簡単に手に入る
蛇口をひねれば出てきます。
費用があまりかからない
水道料金はかかりますがボトルなどで水を購入するより安く済みます。

ただ、水道水には殺菌・消毒用に塩素が含まれています。微量なので人間が飲んでも問題はありませんが、観賞魚にとっては有毒になります。なので水道水で飼育水を作るにはカルキ抜きが必要になります。

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水道水の“塩素”と“カルキ抜き”

水道水には殺菌・消毒のために次亜塩素酸ナトリウムが入れられています。家庭に届く水道水には次亜塩素酸ナトリウムから生成された次亜塩素酸次亜塩素酸イオンなどが含まれており、これらが水道水の“塩素”と呼ばれていものです。この“塩素”を除去することを“カルキ抜き”と呼びます。

カルキ”とは正確には次亜塩素酸カルシウムのことで、ドイツ語でクロールカルキと呼ばれることから略して“カルキ”と呼ばれています。現在では水道水の殺菌・消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使用するのが主流ですが、以前は次亜塩素酸カルシウムが使用されていました。なので正確には水道水に含まれるのは“カルキ”ではありませんが、その名残で水道水に含まれる“塩素”は“カルキ”と呼ばれ、これを除去することを“カルキ抜き”と呼びます。

家庭に届く水道水に含まれる“塩素”には“遊離塩素”と“結合塩素”があります。

遊離塩素”は次亜塩素酸次亜塩素酸イオンなどのことで、強い殺菌・消毒作用がありますが、不安定で時間がたつと自然に分解されてしまいます。

結合塩素”は自然水に含まれるアンモニアなどの成分と遊離塩素が反応してできる成分のことで、殺菌・消毒作用は弱いものの、遊離塩素よりも安定していて長時間分解されることなく効果が持続します。

結合塩素が生成されるのに必要なアンモニアなどは微量であるため、水道水に含まれる“塩素”はほとんどは“遊離塩素”です。

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カルキ抜きの必要性

前述のとおり、水道水に含まれる塩素は人間が飲むうえでは問題はありませんが、魚には有毒になります。なぜかというと、人間よりも塩素に対する抵抗力が弱く、エラから取り込まれた塩素が呼吸に必要なエラの細胞を破壊してしまうことや、体を保護している粘液を保てなくなってしまうからです。

また、水道水に含まれる塩素は飼育水に含まれ、水質を浄化する役割のあるバクテリアも死滅させてしまいます。さらに、水草も種類によっては塩素に弱いものがあります。

カルキ抜きするには?

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カルキ抜きの方法

一般的なカルキ抜きの方法には次のようなものがあります。

汲み置きする
水道水をバケツなどに汲んで置くと半日から1日ほどでカルキ抜きした水ができます。
中和剤を使用する
中和剤を水道水に混ぜることですぐにカルキ抜きした水を作ることができます。

また、飲料用や生活用水をカルキ抜きする場合は以下のような方法もありますがその水を観賞魚の飼育に使用するには注意しなければいけない点があります。

煮沸する
遊離塩素は分解されますが、結合塩素は分解されません。また、短時間の煮沸ではトリハロメタンが増えてしまい、これを除去するにはかなりの時間煮沸しなければいけません。さらに水中に溶け込んだ酸素も蒸発してしまいますし、ミネラル成分も破壊されてしまいます。
浄水器を使う
家庭用の浄水器にはいろいろなものがあるので一概には言えませんが、水道水に含まれる有益なミネラルなども除去されてしまう場合があります。また、浄水器のフィルターに付着している抗菌成分が水に溶け出すこともあります。

以下のようにもともと塩素が含まれていない水を使う方法もあります。

井戸水を使う
水道水と違い地域によって大きく水質が違うので、pHや硬度などを調べて飼育する観賞魚に適しているか確認しておく必要があります。
ミネラルウォーターを使う
井戸水と同様水質に注意が必要です。大量に用意するにはお金がかかります。
川、池などの水を使う
もともとその場で採取した魚を飼育するのであれば適していますが、予期せぬ病原菌、寄生虫などが紛れ込んでいる可能性があります。また、工場や家庭から出る排水や農薬などによって汚染されている恐れもあります。
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汲み置きで自然にカルキ抜きする

水道水をバケツなどに汲んでおき、日当たりがいいところに置いておくと日光に含まれる紫外線によって遊離塩素と結合塩素が分解されます。水の量にもよりますが日当たりが良ければ半日から1日ほどでカルキ抜きした水ができます。

日当たりが悪くても数日かければ遊離塩素は分解されますが、結合塩素の除去には一週間以上かかります。

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中和剤でカルキ抜きする

中和剤を使用するとほとんど待たずに遊離塩素と結合塩素が分解された水を作ることができます。一般的な中和剤の主成分はチオ硫酸ナトリウムで、決められた量の中和剤を水道水に入れてよく混ぜ合わせることで塩素を分解することができます。

季節によって水道水に含まれる塩素の量は変わるので使用する量を調整する必要があります。中和剤を入れすぎると魚がチオ硫酸ナトリウム中毒になることもありますが、多少の多く入れた程度では問題になることは普通はありません。

塩素を中和する効果以外にも重金属を無害化する効果があるもの、ビタミンや魚の粘膜を保護する成分が含まれているもの、海水を作れるものなどいろいろな中和剤が販売されているので用途に応じて選ぶと良いでしょう。

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カルキ抜きした水を飼育容器に入れる

カルキ抜きして作った水を飼育容器に入れる時には水温に気を付ける必要があります。汲み置きした水は日が当たっていると暖かくなりますし、中和剤を使用する場合も水道水は夏場でも思いの外冷たいのでそのまま飼育容器に入れてしまうと水温が大きく変化してしまいます。水温の差が大きい場合は時間を置くかヒーターを使用して飼育容器内の水と水温の差ができないようにしなければなりません。

また、水道水は塩素によって殺菌されているため、生物濾過に必要なバクテリアが含まれていません。飼育容器の水を変える場合にあまりに多くの飼育水を新たに作った水と交換してしまうと飼育容器内の濾過バクテリアが不足して生物濾過が機能しなくなってしまいます。それを防ぐため、水換えをする場合は通常は飼育容器内の水の3分の1程度を入れ替えます。

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