メダカとは?
“ミナミメダカ”と“キタノメダカ”
日本原産のメダカはもともと遺伝子分析によって生息する地域ごとに「東日本型」、「東瀬戸内型」、「西瀬戸内型」、「山陰型」、「北部九州型」、「大隅型」、「有明型」、「薩摩型」、「琉球型」の9つに細分される「南日本集団」とそれ以外の地域に生息する「北日本集団」、それに「ハイブリッド集団」にグループ分けされていましたが、分類としてはすべて同じ“メダカ”という1種類の魚でした。しかし、2012年になってこれらのグループには遺伝的に大きな分化が見られるとして「南日本集団」は“ミナミメダカ”、「北日本集団」と「ハイブリッド集団」は“キタノメダカ”として2種類に分けられました。
メダカとカダヤシ
日本に生息していてメダカにとてもよく似た魚にカダヤシという魚がいます。蚊の幼虫であるボウフラを捕食することが“カダヤシ(蚊絶やし)”の由来でも、本来アメリカ原産のカダヤシはボウフラを駆除する目的で日本に移入されました。もともと日本に生息していないカダヤシは高い適応力と強い繁殖力で分布を広げ、現在では日本各地でみることができます。
コンクリート護岸化された河川や用水路が増えたことによって水草に卵を産み付けなければならないメダカは繁殖場所が減ってしまいましたが、カダヤシは卵胎生で繁殖するため、そのような場所でもその数を増やしていくことができます。
外来種であるカダヤシは特定外来生物に指定されており、許可なく生きたまま運搬したり、飼育することが禁止されています。メダカと違って採取して飼育すると罰せられますので注意が必要です。
メダカとカダヤシはとてもよく似ていますが、背ビレの位置や尻ビレ、尾ビレの形で判別することができます。
メダカの仲間
“ミナミメダカ”と“キタノメダカ”が分類される“ダツ目メダカ科”には他にも“ジャワメダカ”や“メコンメダカ”など33種類が分類されており、東アジアや東南アジアに生息しています。
また、メダカはもともとカダヤシやグッピーなどとともに“メダカ目”に分類されていましたが、1981年に鰓弓や舌骨の構造にダツ目との共通点が指摘されてダツ目に含まれるようになりました。なお、現在でもメダカをカダヤシやグッピーと同じ分類に含めるべきとする意見もあります。
メダカ目はメダカが抜けて“カダヤシ目”に変更されましたが、こういった経緯からカダヤシ目に属するグッピーやプラティなどの熱帯魚は“メダカ類”や“卵胎生メダカ”などと呼ばれ、メダカの仲間として扱われることが多いです。
メダカの生態
メダカが棲む場所
野生のメダカは流れの緩やかな小川や用水路、池などの浅瀬に生息しています。小さなメダカは泳ぐ力が弱く、また外敵も多いため、流れの速い場所や大きな魚がいる大きな河川や湖などではあまり見られません。
野生のメダカは環境省のレッドリストに絶滅危惧II類 (VU)(絶滅の危険が増大している種)として記載され、説滅危惧種に指定されています。
昔は水田の中でもメダカが見られましたが、現代の水田は用水路と自由に行き来できないうえに冬になると水が抜かれてしまうため見られなくなりました。生活排水による水の汚染、護岸工事によるメダカが卵を産み付けられる水草の減少、それにガダヤシなどの外来種との競合によって野生のメダカが生息できる環境は次第に減っており、野生のメダカが見られる機会は少なくなってきています。