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メダカのあれこれ

記事Apr.29th,2018
May 27th,2021
日本で生息する最小の淡水魚であるメダカ。田んぼや小川、池など身近な場所に生息し、観賞用としても昔から親しまれてきたメダカ。意外と知らないメダカについての基礎知識や豆知識。

メダカとは?

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“メダカ”という魚

メダカ”はダツ目メダカ科に分類される魚で、日本で野生に生息するものはミナミメダカキタノメダカの2種類がいます。体長は3.5cmほどで日本に生息する最も小さい淡水魚です。

「田んぼの魚」として親しまれるメダカの学名“Oryzias”はイネの学名に由来しています。また、英語では一般に“rice fish”と呼ばれます。

田んぼ以外にも池や小川、用水路といった身近な場所に生息するメダカは古くから人々に愛され、金魚や鯉よりも前から飼育されていたと言われます。

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“ミナミメダカ”と“キタノメダカ”

日本原産のメダカはもともと遺伝子分析によって生息する地域ごとに「東日本型」、「東瀬戸内型」、「西瀬戸内型」、「山陰型」、「北部九州型」、「大隅型」、「有明型」、「薩摩型」、「琉球型」の9つに細分される「南日本集団」とそれ以外の地域に生息する「北日本集団」、それに「ハイブリッド集団」にグループ分けされていましたが、分類としてはすべて同じ“メダカ”という1種類の魚でした。しかし、2012年になってこれらのグループには遺伝的に大きな分化が見られるとして「南日本集団」は“ミナミメダカ”、「北日本集団」と「ハイブリッド集団」は“キタノメダカ”として2種類に分けられました。

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“ヒメダカ”

メダカというと薄い黄色い体色の魚を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、これは“ヒメダカ”と呼ばれる突然変異によって黒色の色素を欠いたメダカを鑑賞目的で固定化したものであり、本来のメダカは“クロメダカ”として流通しているようなやや黒っぽい魚です。

ヒメダカは江戸時代から親しまれている観賞用メダカの元祖であり、市場での流通量も多いためメダカ=ヒメダカとなるに至りました。自然界でも稀にヒメダカが見られることはありますが、黒いメダカに比べて外敵から目立ちやすいため生存率はあまり高くありません。

ヒメダカ
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メダカとカダヤシ

日本に生息していてメダカにとてもよく似た魚にカダヤシという魚がいます。蚊の幼虫であるボウフラを捕食することが“カダヤシ(蚊絶やし)”の由来でも、本来アメリカ原産のカダヤシはボウフラを駆除する目的で日本に移入されました。もともと日本に生息していないカダヤシは高い適応力と強い繁殖力で分布を広げ、現在では日本各地でみることができます。

コンクリート護岸化された河川や用水路が増えたことによって水草に卵を産み付けなければならないメダカは繁殖場所が減ってしまいましたが、カダヤシは卵胎生で繁殖するため、そのような場所でもその数を増やしていくことができます。

外来種であるカダヤシは特定外来生物に指定されており、許可なく生きたまま運搬したり、飼育することが禁止されています。メダカと違って採取して飼育すると罰せられますので注意が必要です。

メダカとカダヤシはとてもよく似ていますが、背ビレの位置や尻ビレ、尾ビレの形で判別することができます。

カダヤシとメダカの違い
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メダカの仲間

“ミナミメダカ”と“キタノメダカ”が分類される“ダツ目メダカ科”には他にも“ジャワメダカ”や“メコンメダカ”など33種類が分類されており、東アジアや東南アジアに生息しています。

また、メダカはもともとカダヤシやグッピーなどとともに“メダカ目”に分類されていましたが、1981年に鰓弓や舌骨の構造にダツ目との共通点が指摘されてダツ目に含まれるようになりました。なお、現在でもメダカをカダヤシやグッピーと同じ分類に含めるべきとする意見もあります。

メダカ目はメダカが抜けて“カダヤシ目”に変更されましたが、こういった経緯からカダヤシ目に属するグッピーやプラティなどの熱帯魚は“メダカ類”や“卵胎生メダカ”などと呼ばれ、メダカの仲間として扱われることが多いです。

“卵胎生メダカ”とされるプラティ

メダカの生態

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メダカの食べ物

野生のメダカはミジンコなどの動物性プランクトンや植物性プランクトン、ボウフラ、アカムシ、小さな昆虫やエビなどの甲殻類などを食べて生きています。蚊の幼虫であるボウフラも好んで食べるため、睡蓮鉢などに発生するボウフラを退治する益魚としても知られています。

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メダカが棲む場所

野生のメダカは流れの緩やかな小川や用水路、池などの浅瀬に生息しています。小さなメダカは泳ぐ力が弱く、また外敵も多いため、流れの速い場所や大きな魚がいる大きな河川や湖などではあまり見られません。

野生のメダカは環境省のレッドリストに絶滅危惧II類 (VU)(絶滅の危険が増大している種)として記載され、説滅危惧種に指定されています。

昔は水田の中でもメダカが見られましたが、現代の水田は用水路と自由に行き来できないうえに冬になると水が抜かれてしまうため見られなくなりました。生活排水による水の汚染、護岸工事によるメダカが卵を産み付けられる水草の減少、それにガダヤシなどの外来種との競合によって野生のメダカが生息できる環境は次第に減っており、野生のメダカが見られる機会は少なくなってきています。

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メダカの寿命

野生のメダカの寿命は1年半程度といわれていますが、飼育下では通常2~3年、長いと5年ほど生きることができます。

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メダカの繁殖

メダカの繁殖シーズンは春から秋にかけてですが、とくに春から初夏にかけてが一番活発といわれています。

メダカはオスがメスに求愛行動を行い、求愛行動は早朝に行われます。求愛が受け入れられると交尾行動に移り、オスがメスを背ビレと尻ビレで抱きかかえるようにして寄り添って泳ぎます。産卵した卵はメスがしばらく抱えたまま泳ぎしばらくすると水草などに産み付けます。

抱卵したメダカ

産み付けられた卵はだいたい7~14日ほどで孵化して稚魚が生まれます。稚魚は夏から秋にかけて成長して翌年には産卵できるようになります。

メダカの飼育

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メダカの飼育

メダカは江戸時代に金魚や鯉が観賞されるようになるよりも前から飼育されていたと言われ、古くから観賞用としても人々に親しまれてきました。メダカは日本原産の魚なので季節ごとの水温の変化に適応することができ、熱帯魚のようにヒーターを設置して水温を維持する必要がありません。また、小さく水質の悪化にもある程度耐えられるため金魚鉢や睡蓮鉢などの小さい容器でも飼育することができます。

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屋外で飼育できる

メダカは屋内の水槽だけでなく屋外でも飼育することができます。

屋外での飼育は屋内に比べてかかる手間も少なく、初心者でも失敗が少ないと言われます。また、屋内の水槽で育てるのが難しい睡蓮やハスなどの植物をメダカとともに楽しむこともできます。

メダカはベランダのちょっとした空間に作ることができるベランダビオトープでも飼育することができます。

ベランダビオトープ
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改良メダカ

古くから親しまれるヒメダカ以外にも現代では観賞を目的としてさまざまな色や形のメダカが品種改良によって作出されています。これらの色とりどりのメダカは“改良メダカ”と呼ばれています。

三色メダカ

ほかの豆知識

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メダカが海に?

メダカは淡水魚ですが、海水で生活することができます。メダカは他の淡水魚に比べて耐塩性が非常に高く、海に近く淡水と海水が混ざり合う汽水域でも繁殖することができます。また、時間をかけて徐々に慣らせば完全な海水でも生活することができるようです。メダカが耐塩性が高いのはもともと海に暮らしていた魚がルーツで河口付近、やがて淡水域へ生活の場を移してきた名残ではないかといわれています。小さくて遊泳力も弱いメダカが強い波や速い流れのある海を泳いで分布を広げること難しいですが、大雨で川から海へ流されたメダカが流れが穏やかになってから川へ戻るといったことが可能になります。

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メダカの名前

メダカという名前は単純に目が高い位置にあることからメダカ(目高)と呼ばれはじめて広がったといわれています。

メダカは日本全国に生息し、昔から身近な存在であったため地方によって異なるよばれ方をしていました。メダコ、メザカといったメダカに近いものから、アカサンビザッコ、ウキビンチョ、ウキヨメンタカメといったものまで3000を超える地方名があるといわれています。

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メダカは食べられる?

かつて一部の地域では田んぼや用水路にたくさんいたメダカは冬を越すための貴重なたんぱく源として佃煮として保存食にされていました。

今では一般的ではなくなったものの、今でも新潟県の一部では生簀で養殖したメダカを料理したものが郷土料理として販売されています。独特の苦味がありますが、ご飯のおかずや酒のおつまみとしていただくのが良いようです。

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