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メダカの屋外飼育

記事Apr.29th,2018
Jun. 25th,2021
古くから人々に親しまれてきた日本で一番小さい淡水魚であるメダカは屋外でも飼育することができます。手間もかからず初心者向けなメダカの屋外飼育の方法について紹介しています。

“メダカ”とは?

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メダカ

メダカはダツ目メダカ科に属する日本で最も小さい淡水魚です。水がきれいな田んぼや小川、池などの身近な場所に生息しており、古くから観賞用としても人々に親しまれてきました。

メダカ
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基本情報

大きさ

体長は通常3.5cmほどです。飼育下では最大で5cm前後まで育つこともあります。

寿命

野生のメダカの寿命は1年半程度といわれています。飼育下では通常2~3年、長いと5年程度生きることもあります。

遊泳層

水面に近い中~上層部で生活します。

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メダカの屋外飼育

メダカは日本にもともと生息する淡水魚なので一般的な屋内の水槽だけでなく屋外でも飼育することができます。自然の環境に近く、日が当たる屋外で育ったメダカはとても生き生きとしています。

屋内の水槽で飼育するのに比べてかかる手間も少なく、メダカの初心者にとっても失敗が少ないと言われます。

屋外飼育の利点

飼育に必要な機材やかかる手間が少ない
人工的な環境である水槽に比べ自然な環境に近いのでフィルターや照明、ヒーターなどの機材が必要ありません。水替えや掃除、エサやりなどの手間も水槽で飼育するより少なくて済みます。
水生植物を栽培できる
日の当たる屋外ではスイレンなどの水生植物を一緒に育てることができます。
四季の移り変わりを感じることができる
春になるとメダカが産卵したり、水生植物の花が咲いたりと屋外ならではの季節の移り変わりを楽しむことができます。
本来の生息環境に近い状態でメダカを飼育できる
本来メダカが生息する環境に近い状態で飼育することができるので丈夫なメダカが育ちます。

屋外飼育の欠点

一年中観察できない
冬の間は水温が下がりメダカが冬眠状態になってほとんど動かなくなってしまうため、メダカが泳いでいる様子を見ることができません。
横からは観察できない
屋外飼育で使われる容器は透明でない場合が多いので水槽のように横からメダカが泳いでいる様子を観察することができません。
外敵に狙われる
鳥や猫などの動物に飼育容器を荒らされたり、メダカを捕食するヤゴなどの肉食性の昆虫が侵入する可能性もあります。
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メダカの飼育にはビオトープがおすすめ

ビオトープ”は本来は野生の生物を呼び込む人工的な水場のことで、最近では水生植物とメダカなどの生き物を屋外で育てることもビオトープと呼ばれるようになりました。ビオトープはベランダにあるちょっとした空間にも簡単に作ることができ、ベランダに作られたビオトープは“ベランダビオトープ”と呼ばれます。

本来メダカが生息する環境に近いベランダビオトープは屋外でのメダカの飼育に最適です。

飼育環境

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水槽・飼育容器

水を溜めておけるある程度大きな容器であればメダカを飼育するのに使用できます。睡蓮鉢がビオトープの定番ですが、プランターやたらい、プラ舟などもお勧めです。

メダカは水中に溶け込んだ酸素を呼吸し、その排泄物は水を汚します。酸素不足になったり、水が水中のバクテリアが分解できないほど汚れたりしないよう飼育できるメダカの数には限度があります。メダカの適切な数は1リットルにつき1匹と言われていますので容器を選ぶ際の目安にすると良いでしょう。

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飼育水

メダカの飼育に適した水質はpH5~9程度と言われていますので弱酸性から弱アルカリ性まで比較的幅広い水質に適応できます。

水質を測るもう一つの指標である硬度についても比較的幅広く適応できます。たいていの観賞魚は軟水を好み、メダカも軟水のほうが適していると言われますが、メダカは海に近い水域でも生活できるので硬水で飼育できないわけではありません。

色揚げや繁殖のためにこだわるには弱アルカリ性の水質が良いとされることもありますが、普通に飼育するだけであればそれほど水質に神経質になる必要はありません。日本の水道水の水質基準値はpH5.8~8.6であり、軟水の場合が多いので水道水で飼育のが一番手軽です。ただし、水道水に殺菌のために含まれる塩素はメダカにとって有害となるため必ずカルキ抜きが必要です。

急激な水質の変化はメダカにとってストレスになり調子を崩して弱ってしまう原因にもなりますので、別の飼育容器にメダカを移し替えたりする時は水質を徐々に変えて慣らしていく必要があります。

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水温

メダカを飼育するのに理想的な水温は18~28°Cと言われますが、水面が凍りつくような低温から40°C近い高温まで耐えることができます。

冬の10°Cを切る低温では冬眠状態になりますが、健康なメダカであればその環境も乗り越えられますので冬に飼育水全体が凍ってしまうような地域でなければそれほど水温を気にする必要はありません。ただし、水質と同様に急激な水温の変化はメダカが弱ってしまう原因になりますので注意しなければいけません。

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エサ

エサの種類

野生のメダカはミジンコなどの動物性プランクトンや植物性プランクトン、ボウフラ、アカムシなどの小さな昆虫や甲殻類を食べて生きています。

飼育下のメダカもミジンコやアカムシなどの活き餌を好んで食べます。ただ、活きエサは手間がかかりますのでほとんどの場合には人工飼料が使用されます。熱帯魚店などではさまざまなタイプの観賞魚用のエサが売られていますが、メダカはあまり選り好みせず食べます。しばらく水面に浮かぶタイプのエサがメダカにとって食べやすく、食べ残しも少ないため水を汚しません。ただし、小さなメダカは口も小さいので細かいエサしか食べられません。

栄養バランスを考えるとエサを何種類か用意しておくのも良いかもしれません。

エサの与え方

人工飼料を与える場合、一般的には数分で食べきれる量を一日に数回に分けて与えます。

ただし、ベランダビオトープでは勝手にプランクトンやボウフラなどのエサとなるものが自然と発生するため、屋内の水槽ほどエサを与える必要はなく、一日一回の少量のエサやりでも足りる場合がほとんどです。フィルターのない自然任せのビオトープではエサの与えすぎは排泄物の増加によって水が汚れますので注意が必要です。飼育しているメダカの数が少なければ全くエサを与えずに飼育することもできます。

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繁殖

メダカの繁殖の難易度はそれほど高くなく、オスとメスがいれば比較的容易に産卵させることができます。卵や稚魚はそのままにしておくと親メダカに食べられてしまうために隔離する必要があり、いくらかの手間がかかります。

メダカの稚魚は頻繁にエサやりが必要で簡単に餓死してしまうため、稚魚の育成が繁殖させるうえでの最大の難関になります。エサにもなる植物プランクトンが発生したグリーンウォーターでの飼育がおすすめです。

オスとメスの見分け方

オスのメダカは背ビレに切れ込みがあり、尻ビレが大きく平行四辺形でヒレの先がギザギザしています。一方、メスのメダカは背ビレに切れ込みがなく、尻ビレは後ろに向かって小さくなっています。

オスのメダカ
メスのメダカ
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混泳

同種との混泳

時折小競り合いを起こすことはありますが、大きな問題はありません。ただし、極端に大きさの違うメダカや泳ぎが苦手なダルマ体型の改良メダカの混泳はエサの取り合いに負けてしまうことがあるので注意が必要です。

他の観賞魚との混泳

メダカは小さいので大きな魚には捕食されてしまいます。メダカよりも口が大きい魚との混泳はできません。

エサの食べ残しやコケ、死んでしまった生き物などを食べて飼育容器内を掃除してくれるミナミヌマエビやタニシを一緒に飼育するのが定番です。

屋外飼育の春夏秋冬

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暖かくなると冬眠状態にあったメダカも活動をはじめ、エサもよく食べるようになります。夜や朝に冷え込むことが多い春のはじめにはエサを与えすぎると消化不良を起こして体調を崩してしまいますので、暖かい昼間に少しずつ与えるようにします。排泄物の増加も水質に大きく影響するので注意が必要です。

メダカは一年中熱帯魚店やネット通販で入手することができますが、販売店ではたいてい屋内の水槽で飼育されているので、水温の変化がある屋外のビオトープへの導入は気温の変化が少なくなる春から夏の初めが最適です。

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水温が18°C以上になると繁殖行動をとるようになり、20°C以上になると安定して産卵するようになります。繁殖の適温は25°C前後といわれています。

夏の強い日差しは急激な水温の変化をもたらしますので直射日光が飼育容器に当たるようであれば浮草を浮かべるなどして日陰を作ります。水温が30°Cを超えると活動が鈍くなり、体調も崩しやすくなりますので注意が必要です。

天敵となるヤゴなどの肉食昆虫が混入していないかも注意しなければなりません。

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水温が下がってくると繁殖も終わり、徐々に活動が減ってきます。

冬になるとメダカは冬眠状態になります。その間はエサを食べなくなりますので秋のうちに十分エサを与えて体力をつけさせておきます。

また、冬眠状態になっている間は水替えや掃除などの飼育容器の手入れができませんので、秋のうちに済ませておかなければなりません。

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水温が10℃を切るようになるとメダカは冬眠状態になります。エサを食べなくなり、水の底で動かずにいるようになります。健康なメダカであれば水面が凍る程度の寒さであればこのまま冬を越すことができます。

暖かい昼間には水面へ上がってくることがあります。食べるようであれば少量のエサを与えてもよいですが、与えすぎると消化不良を起こしますので注意しなければなりません。

孵化した時期が遅くてまだ小さいメダカや痩せ気味のメダカは冬を越せない可能性が高いので屋内に取り込む必要があります。

その他

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改良メダカ

原種に近いクロメダカを自然の環境を模したベランダビオトープで飼育するのも風情がありますが、現代では様々な見た目の改良メダカが品種改良によって生み出されており、どのメダカを飼育するか選ぶのも楽しみの一つです。古くから観賞用に飼育されるヒメダカや赤みがより強い楊貴妃メダカ、錦鯉のような三色メダカまで色とりどりのメダカが流通しています。

屋外で飼育する場合、改良が重ねられた品種のメダカはヒメダカやクロメダカほど丈夫ではなく、屋内の水槽に比べると過酷な環境となる屋外での飼育にはあまり向かないと言われますことがあります。特にダルマ体型のメダカは冬を越すのにリスクを伴いますので気を付ける必要があります。

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